行ってみた! 聞いてみた!
グランクラス軽食メニューの開発
新幹線のグランクラスで提供されている軽食メニューは、どのように作られているのだろうか? そのメニュー開発の現場に行ってみた。
東北・北海道新幹線、北陸新幹線のグランクラスでは、一部列車を除いて専任アテンダントにより軽食が供される。グランクラスのコンセプトは"特別な貴方"のためのプライベートキャビン。そんな上質な空間で提供されるメニューは、どのように決まり、作られているのだろうか。
富山名産の鱒寿司で有名な株式会社源(みなもと)が、北陸新幹線・東京方面行きの軽食メニューの開発を担当していることを知り、行ってみた。
お話を伺ったのは、田町郁夫生産本部取締役本部長だ。同社の「ますのすし」は、国鉄富山駅構内で弁当や菓子の製造販売業の認可を受け、1912年から販売を開始したことに始まる。当時、地元では「あゆずし」のほうが有名だった。でも、鱒寿司の美味しさを知る源としては、富山を代表する食に育てたい──そんな思いから、富山駅弁「ますのすし」は生まれた。
田町 郁夫氏
株式会社 源 生産本部 取締役本部長
季節ごとのテーマで新たなメニューを開発
次いでグランクラスのメニューについて聞いてみた。同社は軽食を提供するに当たり、見た目、フタを開けたときの期待感、そして食後の感動を大切にしている。
特にグランクラスについては質を追求。調理技術はもちろん、北陸地方の食材、郷土料理を存分に味わってもらうことを大前提とした。
現在グランクラスの軽食は名店「日本料理 一凛(いちりん)」の橋本幹造氏が監修している。12月からの冬メニューは「北陸の海鮮」をテーマとし、そのもとで源が提案を行った。「冬メニューでは懐石料理の八寸をイメージし、升ごとの料理を考えました。特に、ご飯のカニの扱いは、なかなか特徴ある品とならずに苦労しましたが、橋本さんに、まだ地元でもあまり知られていない、日本初のズワイガニの干物『かにぼし』の存在をご指南いただき、納得の一品ができました」と田町取締役は胸を張る。
提案に提案を重ねるメニュー作りだが、このグランクラスへの軽食の提供は、源の社員たちにとって誇りになっているという。
一つのメニューに込められた、さまざまな人の思い。それを知ることができた有意義な経験だった。
北陸新幹線 東京方面行き グランクラス軽食
盛り付け
フタを開けたときおいしく見えるように、手作業で、一つ一つ丁寧に盛り付ける
蛍烏賊含め煮の調理
名産の蛍烏賊を下処理し、大鍋の中で独自の調味液の味を含ませていく
「特別な旅」を演出するグランクラス専用シートのこだわり
JR東日本・新幹線のファーストクラス「グランクラス」。1編成18名のお客さまのためだけに設けられた特別なプライベート空間は、シートにも徹底したこだわりを持つ。人間工学に基づいて設計された本革シート。体格差も影響しない形状でゆとりある最適な座り心地を実現、長時間移動でも快適に過ごすことができる。リクライニングの最大角度は45度。座席を倒しても後ろの席が狭くならないバックシェルタイプで、包み込まれるような居心地の良さを感じる。また、角度を自由に調節できるデスクライト、電源コンセントも装備されている。この上質で洗練された乗り心地は、旅に特別なひとときを添える。
北陸新幹線
ヘッドレストピロー
グリーン車よりも柔らかい専用のヘッドレストピローは、好みに合わせて上下に動かすことができる
パーテーション
2人掛け座席のシート間には、半透明のパーテーションが設置され、プライバシーに配慮されている
コントロールパネル
手元のコントロールパネルからスイッチ一つでシートを調整。シートは最大45度までリクライニングが可能
[きっぷの値段] 北陸新幹線「かがやき」「はくたか」グランクラス(飲料・軽食あり)ご利用の場合 東京⇔金沢 おとな1名 27,480円(片道運賃・料金)