
レジェンド松下 れじぇんど・まつした [松下周平 まつした・しゅうへい]
株式会社コパ・コーポレーション 取締役営業本部長
実演販売士
神奈川県横浜市出身。法政大学卒業後、実演販売を始める。実演販売をするだけではなく、商品開発やプロデュースも行い、1000商品以上のヒット商品を生み出し、1日の最高売り上げは2億1000万円。店頭実演販売、テレビ通販、バラエティー番組とさまざまな分野で活躍する「実力No.1実演販売士」。著書に『人の心をつかむ極意』(辰巳出版)などがある。
社会人のための教養コラム
実演販売士レジェンド松下が教える
「場の空気のつくり方」
1日1億円以上を売り上げるカリスマ実演販売士として活躍中のレジェンド松下氏。実演販売で商品を買ってもらうには、その口上に加え、その場の雰囲気づくりが大事だといいます。レジェンド氏に場の空気のつくり方について伺いました。
台本通りではなく自分の言葉で話す
新型コロナウイルスの影響もあり、今はテレビショッピングやYouTubeなどでの活動がメインとなっていますが、原点はやはり店頭実演販売です。ありがたいことに、今でこそたくさんのお客さまが集まってくれますが、駆け出しの頃は、商品がまったく売れなかったり、それこそ誰も足を止めてくれないこともしょっちゅうありました。うまくいかないとイライラしてしゃべりに角が立ってしまいます。そうすると場の雰囲気が悪くなって、ますます人が集まらない、商品も売れないという悪循環に。逆に、場の空気を上手につくれると、お客さまが途切れず商品は続けて売れていきます。場の空気は非常に重要です。
私が商品を売る際に心掛けているのは、「その商品に日本で一番詳しい人になる」ことです。包丁でもなんでも使い倒す。作っている過程を知りたいから工場にも行く。他社の類似品も使ってみて双方の長所短所を把握する。そうすると戦えるポイントも見えてきて、売り口上に自信が持てます。台本はありません。台本に沿った一方的な説明は相手に響かない。誰よりも商品に詳しい自信があるからこそ言葉に魂が入り、相手にそれが伝わるのです。

例えば、プレゼンテーションなどの際に、企画書に書かれた内容を読み上げるだけでは聞く相手に響きません。自分の推す企画や商品などは熟知して自信を持ち、書類に頼らず、自分の言葉で熱意を持って話すべきです。そうすれば、参加者もあなたの言葉に集中し、前向きな場の雰囲気がつくれるはずです。
一体感と「気付き」が場の空気づくりに大切
一体感も大事です。一体感といっても2つあり、1つは現場との一体感です。私が売っている商品が出来上がるまでには、工場のスタッフをはじめたくさんの人間が関わっています。そんなさまざまな人たちと情報を交換したり、時には一緒に飲んだりすると、ワンチームの一体感が持てる。会社でもなんでも、できるだけコミュニケーションをとって、一体感を醸成することが大切です。チームの雰囲気が良いと、商品の出来も断然違ってきます。
もう1つはお客さまとの一体感です。商品説明をしながら「でも、こう思いますよね?」と疑問を投げ掛ける。そうするとお客さまが頭に描く疑問が一方向に集約されて一体感が生まれ、その後が進めやすくなります。一方的に話すのではなく、時には問い掛けて、参加者の気持ちを同じ方向に向けさせるというのは、打ち合わせや会議などでも使える手法ではないでしょうか。

また、相手が自分に何を期待しているのかを把握して、それに応えていくことも場の雰囲気づくりにとって重要です。テレビのトーク番組やバラエティーに出演させていただくことも多くなりましたが、ディレクターとの打ち合わせの中で、今日は引き立て役だな、今日は盛り上げ役だななどと、できるだけオファーしてくださった方の意図をくんで臨むようにしています。周囲に自分は何を期待されているのか。それに「気付く」ことも場の雰囲気の上手なつくり方につながると思います。