SDGs×JR東日本グループ
変化を前向きに楽しめる社会を目指して──
ワーキングマザーのキャリア形成をサポートする「PeerCross」
JR東日本グループは、グループ経営ビジョン「変革2027」のもとESG経営を実践し、事業を通じて社会的な課題を解決することで、地域社会の発展に貢献するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に取り組んでいます。今回は、JR東日本グループの新事業創造プログラム「ON1000」から誕生したワーキングマザー向けキャリア形成支援サービス「PeerCross(ピアクロス)」を紹介します。
JR東日本には、JR東日本グループの社員が応募できる新事業創造プログラム「ON1000(オンセン)」があり、社員の発意からグループの未来を切り開く事業を創出する取り組みを進めています。これまでに累計約4600件の応募があり、2023年10月時点で6件が事業を開始しています。
今回紹介するワーキングマザー向けキャリア形成支援サービス「PeerCross」もこのプログラムから生まれ、23年7月に有償トライアルとしてスタートしました。
発案のきっかけは自身の悩み・経験から
PeerCrossは、「出産や子育てにも前向きで、ライフイベントとともにキャリアも楽しみながら成長していきたい」という、企業所属のワーキングマザーを対象とし、社外の利用者同士で安心して相談し合える、キャリア形成支援サービスです。現在、1対1での相談相手をマッチングするサービスと、複数人の利用者がテーマに沿って意見交換できる座談会のサービスなどを提供しています。
スマホアプリを介して定期的にレコメンドされる候補の中から会いたい人を探し、簡単にマッチングができる(画面はイメージ)
サービス発案のきっかけとなったのは、育休復帰後、時間の制約や突発的な子どもの体調不良などもある中、仕事と育児の両立に悩んだ起案者自身の経験です。「このままもうキャリアを諦めなければいけないのか」という「マミートラック」(※)と呼ばれる状態になり、悶々(もんもん)とした時期が続いたことでした。
性別役割分担意識などの影響により女性のキャリアが停滞してしまう例は多く、さまざまな企業のワーキングマザーが同様の悩みを抱えています。昨今、女性活躍推進が国の重要施策に掲げられていますが、企業におけるロールモデルの不足や女性管理職比率向上といった課題は依然根深く存在します。
こうした実体験や社会・企業の課題を踏まえ、同じような境遇にあり価値観を共有する方々が、社外のワーキングマザーにタイムリーに悩みを相談でき、前向きな気持ちになれる場をつくりたいと考え、事業の起案に至りました。
PeerCrossが掲げるビジョンは、「変化を前向きに楽しめる社会を目指して」です。ワーキングマザーをエンパワメントし、自分らしく活躍できる社会を実現するため、JR東日本として事業領域の拡大を進めていきます。
※ 仕事の難易度や責任の度合いが低く、キャリアの展望もない状態を指す。21世紀職業財団の調査では、26~40歳の子育て中の女性のうち46.6%が該当するという結果が出ており、社会課題となっている
1対1での相談はオンラインの他、実際に面会して行うことも可能
サービス改善のためのブレストを行ったリアル座談会の参加者
ゲストスピーカーを迎えたオンライン座談会も実施している
信頼できるマッチングと学び合いの場を提供
23年7月のサービス開始後、既に30社を超える企業の皆さまにご利用いただいており、同年11月時点で累計約1000組・2000名のマッチングが成立しました。業界・職種・職制を超え、さまざまなバックグラウンドを持つ方々とオンラインでもリアルでも出会うことが可能です。さらに、利害関係がなく、心理的安全性が確保されたクローズドな空間でネットワーキングができるのが特長です。
利用者からは、「多様な考えや価値観を知り、視野を広げるために、より多くの方と出会いたい」といった前向きなフィードバックが届いています。座談会サービスでは、「ライフ」または「キャリア」に関するテーマを設定。情報・経験をシェアしながら、学び合いの場として活用いただいています。
24年1月からは、利用者の皆さまからのご要望をもとにさらなるユーザビリティの向上を図り、引き続きサービスを展開していきます。女性活躍推進という日本の企業が抱える課題の解決に寄与することで、多くのワーキングマザーが「変化を前向きに楽しめる」社会となるよう、事業を推進します。
[ 報告者 ]
JR東日本 マーケティング本部
くらしづくり・地方創生部門 新規事業ユニット
チーフ 平田 絵美(写真中左)/副長 小西 好美(写真中右)
大関 康宏(写真左)/主務 堀元 由梨(写真右)